庄内協同ファームだより

トップページ > 庄内協同ファームだより > 庄内協同ファ-ムだより 2001年11月 発行 No.80

新組合員の工藤広幸です

余目町   工藤 広幸

天気予報に雪だるまのマークがちらほら見え出し、本格的な冬を前に何かと気ぜわしい毎日を過ごしております。
鳥海山、月山は中腹まで雪で覆われ、田んぼには冬の使者、白鳥がえさを求めて、群れをなして飛来し晴天の日は素晴らしいコントラストを描いております。
今年から正組合員としてお世話になることになりました工藤広幸です。ナチュラルコープ横浜の皆様には、J.ファーマーズあまるめとしてササニシキを供給させて頂いてましたが、今年から庄内協同ファームを通して産直することになりましたので、今迄同様の御愛顧の程、宜しくお願いします。
私の経営内容を紹介します。

水田、自作地が5.1ha、受託地が6.0haで今年稲を作付したのが8.7ha。その内、庄内協同ファームに出荷する減農薬米が2.6ha(ササニシキ・ひとめぼれ)です。他に作業受託(耕起、代掻、田植、刈取)3.0ha、転作大豆が受託を含め4.0haでこれが稲作部門です。それに園特部門にハウスが650坪あまり、作っているものはトルコキキョウ、ストック、カスミソウ、それに3,000個の菌床しいたけ栽培です。

今年の作型は、カスミソウが田植えの終わった5月末から6月始めに出荷、6月下旬からトルコキキョウが現在まで、ストックが10月末から来年の3月まで、しいたけが11月末から4月までと1年中稲作とあまりかち合わないように出荷の栽培体制としております。
妻と二人、忙しい時には、シルバー人材やパートを雇用しながら毎日、『農業は金はなくてもリストラもなくていいの』と話しながら働いております。
11月始めに北九州市で開催された全国認定農業者サミットに参加してきました。全国各地から2000人の農業者が集い「くらしといのちを考える国際化の中の農業経営」をテーマに基調講演と分科会討議が行われました。農産物輸入問題(セーフガード、WTO)、狂牛病、コメ政策の見直し問題等、多岐にわたり日本農業の直面してる課題を考えさせられました。
国際化の中で農業も工業製品と同じで、大企業が地球規模で原料調達、加工システムを作っており自動車産業と変わらない状態になっている。東アジア(日・韓中)はいまや最大の農産物輸入市場に成長し、消費者がユニクロ戦略になびいてしまえば日本農業は生き残れないと講演があり、その対策としては生産者と消費者が互いに理解しえることが大事、顔の見える交流を通し消費者の安全を考えた農業をしている生産者との結びつきが重要との事でした。
私もなるべく農薬を使わないで米を作り、自然を大切に環境に負荷をかけない農業を目指し頑張りたいと思います。皆さんの食卓が家族の笑顔でつつまれる事をいつも考え日々の農作業に精を出しております。安全と安心、おいしさを求めて米を作り続けますのでどうぞ一杯といわず、二杯、三杯たくさんご飯を食べてください。

スケッチ

広報事務局 志藤 知子

藤島町の中心街を抜け、鳥海山の雄姿を望みながら少し行くと、我が新工場、庄内協同ファームの建物が見えてくる。グレーの外壁に赤い屋根、黒地に白抜きの看板,組合員が再びの夢をかけ構えた新工場である。
11月19日、私が向かったこの日、フルメンバーに近い季節従業員を迎え、夏の間は広々としていた駐車場には、所狭しと車が並んでいた。出社人数は45名。餅製造もいよいよ最盛期に入る。
始業5分前の朝礼、迎える人も迎えられる人も少し緊張ぎみのすべり出し。ロッカールームで作業着に着替え、7項目のチェック表に沿って、着衣の点検をする。各々の配置場所へ入ると、手洗いをし、更にアルコールで消毒を済ませ、作業開始となる。
人員の配置が無事に済み、各々の場所でスムーズに動き出した頃、餅の製造手順に添って工場の中を歩いてみた。
まずは事務室から一番遠い精米センター。各組合員が運び込んだうるち米、もち米が整然と積んであり、大きな機械の前で、担当の組合員が精米作業をしていた。

原材料が積んであるストックヤードを素通りして洗米、蒸米室へと向かう。
自動洗米機2台と、蒸し機が3台あり蒸し器からはあったかそうな湯気が立ちのぼっている。蒸し機から蒸し米が壁を通して次室へ押し出されてゆく。
壁の裏側へと、蒸し米を追いかけていくとそこは餅製造室。餅つき機が5台並んでいた。隣りあった2台で交互について、1ラインなのだそうだ。1台は、有事の時の備え、4台が休みなく動く頃は、餅つきも山場といったところ。

 

この時間は丸もちを製造していた。隣室から押し出されてきた蒸し米を計量し、杵つきのうすへ移し、つくこと1分30秒~2分。水を1滴も加えずもち米の水分だけでつく。つきあげた餅は、すぐに丸もち製造機へ入れられ、丸い回転板へ、球状の餅がポトンポトンとリズミカルに落ちてくる。それをまた、リズミカルに餅板に並べる人がいて、板を取る人がいて、棚に並べる人がいて、ラインに並んだ9人が各々の持ち場で1定のリズムを刻みながら、滞りなく仕事は流れてゆく。棚が餅で一杯になると冷蔵庫へと運ばれ、そこを抜けるとパック室へ出る。

餅製造室が男の持ち場なら、さしずめ、ここは女の戦場という所か。今年もベテラン陣の手の速さに焦りまくる新人さんが出るのかも。肩こりにはくれぐれもご用心。手詰めの作業は“慣れての業”。素早くきれいに形良く袋詰めができて1人前。1週間後、10日後の彼女らの仕事ぶりに乞うご期待。パックされた餅は金属探知機をかけた後に、シーラーをし、完成。製品はローラーにかけられ、次室の出荷スペースへ。いよいよ出荷の為のダンボール詰め。見落としがないか検品をしながらの箱詰めも最終チェックだけに気が抜けない作業だ。
ひと通りの作業風景を見せてもらって、事務室に戻ると、南向きの部屋は、晩秋の柔らかな日差しを受けて、ストーブもスイッチOFF。組合員が届けたストックの甘い香りが漂っている。
去年までの狭い作業場でひしめき合って働いていた喧騒から抜け出して、この広い場所での餅製造。身の丈に余る借財を背負っての再スタートだけに、人員を切り盛りする慌しさの中に緊張感がみなぎっている。組合員の意気込みに、従業員の頑張りがうまくついてきて、大きな力となりますように、と願わずにはいられない。
小春日和の帰路、晩秋の優しい陽気はそれだけで人の心を幸せにしてくれる。すっかりを雪化粧した鳥海山と月山が揺るぎないその姿で“頑張れ!!”と私達の行く手を応援してくれているように思えた。
前途、順風満帆なれ!!

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