庄内協同ファームだより

トップページ > 庄内協同ファームだより > 庄内協同ファ-ムだより 2001年8月 発行 No.77

スケッチ

志藤知子 藤島町

 うだるような夏も終盤を迎える8月の今頃。我が家には、毎年、アジアの各地から農業をそれもオーガニックを心ざす青年達が研修にやってくる。栃木県にあるアジア学院の学生として、春から日本に渡ってきた彼らは、片言の日本語で、片言しか英語のできない我が家にショートステイする。

 家の中の間取りの紹介、家族の紹介、そして仕事の手順などは、目で理解できることも多く、さほど不自由を感じないで、何とか意志を通じ合うことができる。多少の単語で何とか頑張ることができる。それでも普段使わない英語は、一度覚えたつもりでも、すぐに頭の中から消えてしまっていて、1つの質問をするのに、つい頭の中で文章を組み立ててからおもむろに話しかけることになるので、沈黙の時間が流れてしまう。

 農業のことに関する専門的な質問などには、こちらもつい手間どってしまって、夫と四苦八苦。手元にあるものを並べて説明しようとしたり、ジェスチャーで補ったり、暑いさなかますます汗が出てしまう有様である。通訳のいない国際交流は、本当に冷や汗ものである。

 それでも、今年インドからやってきたカペさんと、ミャンマーのサイヌーンさんは一生懸命、枝豆の作業を手伝ってくれる。朝は、五時半で”グッド・モーニング”と元気よく前晩の打ち合わせ通りに起きてきてくれるし、ひと通り仕事を説明すれば、自分のポジションにこだわらず、次々と滞っている部分に手を貸してくれる。言葉は、すっきりと通じなくても、彼らの実直さは見てとれる。

 カペさんの作業帽は、麦わら帽子、サイヌーンさんは、一枚の布をかぶる。アラハトさんのスタイルに似ていますね。といったら、にっこり笑った。タイに近い地方は、皆、こういうふうにかぶるのだと教えてくれた。

 二人とも既婚で、国に残してきた家族の写真を大事そうに抱えている。日本に比べれば、まだまだ貧しい自分の国の、これからの農業を模索し、少しでも、日本の技術を持ち帰ろうとする彼らの意欲には、毎年のことながら感心させられる。

 言葉が通じたら、もっともっと楽しい時間をすごせたのに、というカペさんの言葉通り、言葉の違うもどかしさはあったものの、通訳を頼らずにお互いを理解しようとした時間も又、私達にとっては貴重な体験でもあったような気がする。

 でも、せっかくのホームスティ。聞きたいことがたくさんあって今夜は、通訳さんがやってくる。きのうと、きょう、我が家で仕事をして一緒に食事をして、さぁ、今晩はどんな質問が飛びかうやら。・・・・その前に、夕食は何にしようかとお昼休みの今、これを書きながら考えている。

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