庄内協同ファームだより

トップページ > 庄内協同ファームだより > 庄内協同ファ-ムだより 1999年5月 No.54

地域とかかわって

小野寺美佐子 鶴岡市 99.5.28日

深緑が美しい季節になりました。
 皆様いかがお過ごしでしょうか。
私は鶴岡市の天神祭りが終わり、枝豆やヘチマの定植、野菜の種蒔きもまだ終わっていませんが、ちょっとほっとしているところです。
 この祭りは別名『化物祭』と言い、菅原道真公が流刑される時に公の徳を慕う人々が顔を隠し別れを惜しんだという言い伝えにちなんだ、鶴岡の名物祭りです。私はこの祭りの企画委員をしています。
 忙しい最中なので、今年こそ委員を止めようと思っているのですが、官・民・一体となって事を成し遂げる楽しさにはまって4年目に入ってしまいました。
 メンバーは各分野の20代から80代までのエキスパートです。利害を忘れて、純粋に祭りを活性化させたいと願っている人達です。
 私が担当しているのは、道真公を見送る手踊り隊の企画です。今までになかった企画をとり上げてもらうのも大変でしたが、各流派の踊りの先生方の意見をまとめるのも簡単ではなく、それだけに沿道でパレードが出来たときの達成感はひとしおでした。
 祭りはパレードだけでなく広場での催し物も2日間に渡って繰り広げられます。かがり火の中での和太鼓の競演は近隣町村の若者の参加もあり、勇壮な宵祭りになりました。
 今回の祭りでは、組合員の五十嵐ひろ子さんにも手踊り宣伝のポスター作りを手伝ってもらいました。
 踊りの先生の挨拶に「地域づくり」の言葉がありました。私はここ数年、様々な活動に参加してきましたが、集約すれば、「地域づくり」につながるものだと思います。 地域づくりはそれぞれに参加できる形があり、しっかりとした地域が出来てこそ、住んでいる私達も誇りを持って生きられ、他都市への発信も可能なのだと思います。  私が始めようとしている“ファームイン”も、しっかりとした地域づくりに根ざしてこそ、成り立つものだと考えます。
 とは言うものの心配事はつきません。だけど、私の好きな坂村真民の「鳥は飛ばねばならぬ、人は生きねばならぬ」の詩を口づさみながら、のんびりと目標に向かって進んでゆこうと思います。
 家の改築も7月頃までには出来るかと思います。ファームインは9月頃から始めようと思います。どうぞ気が向いたらおいで下さい。私の笑顔と美しい景色、そして農作業が待っています。
草々

“東京から”NO4 「5月の農民」

東京駐在員 吉澤 淳 99.5.27日

 春仕事という言葉の響きが私は好きです。進学・就職・転居と希望にあふれるこの季節。もちろんリストラ・首切り・受験に失敗という悲しい現実もありますが、何かに挑戦するわくわくする季節です。
 新しい年度が春に始まるこの国の仕組みは、たぶんに米作りの作業と関係があるのでしょう。爆発する春のネルギーの胎動を感じながら、米作りの春仕事はまだ肌寒い3月に始まります。
 雪の少ない春は田んぼの土が見えていて、仕事好きの集落の誰かが早々と作業を始めると、のんびりしたくても何かさぼっているみたいで気もそぞろになるといいます。 春仕事の中でも一番気を使うのは育苗(いくびょう)という作業でしょう。今年植える元気で力強い苗をつくりたいとみんな考えるのですが、木酢液での浸漬、温湯消毒法、強塩水選など、種子消毒をしないことは想像以上に大変なことです。一方で田んぼをトラクターが走り回ります。
 田植えは早い年で4月の後半から始まります。1ヶ月程かけて、平野部から中山間地へと順番に行われます。
 山の上から庄内平野を見ると、一面水をたたえた田んぼが広がり、天気の好い日は青い空が映ります。点在する集落とあいまって、それはそれはすばらしい景色です。  本人たちはそんなことはいってられず、日々の作業に追われていますけれどね。男の人たちは日に焼けて黒くなり(女の人たちは日焼け対策が大変!)、半そでのシャツからのぞく二の腕も太くたくましくなり、彼らがいちばんかっこよく見える季節です。
 庄内協同ファームは、自ら出資し利用し運営している、19世帯の小さな組織です。
忙しい春仕事の間にもいろいろな会議が行われますが、みんなどうも落ち着かない。
毎年同じような作業があるのはわかっているのだから、もう少し段取りよく冬の間に
決めることは決めておけばいいのにと、街に暮らす私などは思います。しかし、このわずらわしささえも快楽なのかもしれません。新しい加工場の建設・移転までにはまだまだ時間がかかるかな。
 田植えが終わると夏の総会。秋の稲刈りが終わるとすぐに餅つきが始まり、冬の間に少しゆっくりします。これをずっとずっとくり返す中に、様々なそれぞれの暮らしがあります。カラダを使ってればモノを考えることが「おろそかになる」のはあたりまえ。カラダを使う労働の喜びがここにあります。
 めりはりのきいた農民の一年。一大事業、
米作りが今年も始まりました。田植えを無事終えた安堵感と自信と、今年の天候、収穫、米の価格への不安が、黒い顔の上にまぜこぜになったとても綺麗な5月の農民。

<ちょっと一服>

<ちょっと一服>

 

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