庄内協同ファームだより

トップページ > 庄内協同ファームだより > 庄内協同ファ-ムだより  1998.10月発行 No.47

枝豆の出荷を振り返って

佐藤清夫 鶴岡市 1998.10.23

今年の夏は雨が多く、枝豆の収穫にはとても苦労させられました。
雨合羽を着て、田植え長靴を履いての作業は身体にはきつく、一体いつまでこの雨は続くのだろうかと思うほどでした。
畑から持ってきた枝豆を機械で莢(さや)だけ取り外しますが、雨にぬれた莢は泥だらけのために水洗いをし脱水機にかけます。 雨のおかげで仕事は倍にも増えてしまいます。枝豆の収穫作業は思っているよりずっときついものなのです。
それだけに、だだちゃ豆を買って食べてくれたお客さんの”おいしかった”の一言は”俺の人生はだだちゃ豆”と天にも昇る気持ちになるものです。反対に”たいしたことないわね”と言われたら”どうしてだろう”と自信をなくしてしまいます。
生産者はこのような極端な気持ちの間を揺れ動きます。そして今年こそはという気持ちで立ち向かっているのです。
枝豆を作って20年以上になります。技術的にはそれなりのところまで成果が見えるのですが、それでもまだ課題が残されています。
今年水稲の無農薬栽培をやってみました。報告できるようなものはまだありませんが収量は反当6俵でした。来年もやります。反省する事は山ほどあります。来年の収量は9俵が目標。言うも行うもほんとうに大変な無農薬栽培。

スケッチ へちまのこと

五十嵐ひろ子  鶴岡市 1998.10.23

鳥海山の初冠雪、冬の使者白鳥のシベリアからの飛来と恒例のニュ-スが聞かれる季節となりました。
そんな中「庄内協同ファ-ムへちま部」がみなし法人「 」と名称も新たにスタ-トをきりました。内容はすでにご案内の通りですが八彩耕房は全員で検討の結果、菅原すみさんの提案した名称に決定しました。
その思いなど挨拶文から抜粋しますと「八彩耕房」は[へちま部員であった、女性八人が、それぞれの放つ色彩を農村の暮らしにいかし、土を耕しながら生きていきたい]という思いからつけたものです。「へちま部」も、もちろん長い間、親しまれて来て、ストレ-トで分り易く、良かったのですが、一つの生産団体として経営管理をするためのステップアップをはかる意味からも、新しい風を取り入れ更なる向上を目指したいという思いがありました。
さて、前回のファ-ムだよりで餅の製造過程を野口さんが詳しく説明してくれた文章を興味深く読み、私共もファ-ムの組合員の一員でありながら、知らない点は多く、「へぇ-そうなのか」と納得したものです。今回は皆さんにより理解してもらうために、へちまについて記してみようと思います。
へちまの種子は、かぼちゃの種子よりやや小さめで黒色。普通、種苗店から買い求めますが、自家採種も可能。(大きくて立派な実の種子を取る)
苗代の苗と同時進行で育苗し、苗代後のハウスを利用して定植します。(個人差はあるが6月初旬~中旬頃)私は、6月5日に定植。もちろん、無農薬有機栽培。除草の為の黒マルチを張り、その下には灌水チュ-ブを通します。
ある程度、成長するとハウスのビニ-ルを取りはずしネットを張り、側枝の整枝誘引と、この頃がかなり忙しい作業になります。
盛夏には、へちまのハウスがすっぽりと緑に覆われ、直径10㎝程もある鮮やかな、黄色の花が咲き乱れ風にそよぐ様子は、とても美しいものです。その下は、丁度良い日影でぶらぶら揺れるへちまの実を見上げながら、ほっとする時間です。
採水は暑さの柔らぐ9月からになります。我家の場合は、9月11日から3日間で採水を終えました。稲刈りと採水作業が重なると、体力的にきついので稲刈り前短期間で終るようにしています。  酒造会社に依頼した洗浄、封冠済みの一升びんを使用。もちろん、へちまの茎、カッタ-ナイフ、手など消毒し、地上60㎝位で切りびんに差し込み、雑菌が入らぬ様、アルミホイル、脱脂綿等でしっかり封じ、びんは遮光のため新聞紙で覆います。
人間にも個人差がある様にへちまにも茎を切ったとたん、ポタポタと液があふれ出るものがあれば、ゆっくりゆっくり、マイペ-ス型もあり、同じ畑で同じ条件で育てたはずなのに不思議なものです。 採水後の一升びんは直ぐろ渦し20㍑入りのポリタンクに入れ冷蔵庫から冷凍庫保存となり、注文に応じて解凍、びん詰め、低温殺菌処理して製品となります。
へちまたわしは、水につけて皮をむき、何度もきれいに水洗いをして、乾燥して製品になりますが臭くて大変な作業です。もちろん無漂白で安心してご使用いただけます。
「八彩耕房」の挨拶文の中にもありましたが、種蒔きから製造まで、自分達の手で創り上げた製品なので愛着も大きいです。若干クレ-ムの問題点も有りますが、皆で知恵を出し合い、分析デ-タ-に基づき解決の方向に進んで行きたいと思っています。
昨年、へちま水のパンフレットを作成し女性八人が手分けして売り込みに動きました。その消費者との交流会で「へちま部の皆さんは、へちま水を使っているからお若いのですね」とよく話になりました。
もちろんお世辞です。90%お世辞でしょうが、残り10%には、私達の自ら創り上げたへちま製品に持っている自信や誇りが顔や表情に現れているのだと自負しています。
 こんな私達。5年後、10年後、孫をうば車に乗せ傍らに遊ばせてへちま畑でせっせと汗を流していることでしょう。

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