春
朝靄の中に 大地をうなうトラクターの響き
芽吹いたばかりの若苗が柔らかに輝く
やがて 水が張られ 代掻ききされた水鏡は
かげろうの中に田植えの時を待つ
夏
薫風にそよぎ 梅雨の湿りの中で
稲は緑を濃くし 水面を覆う
容赦ない陽射しの影で 鴨やどじょう 虫たちが
忙しく動き回り 人は水野駆け引きを怠らない
やがて 孕み 出穂の時を迎える
秋 突きぬけた青空の下 黄金の波がそよぐ
トンボが舞い スズメたちがさえずる
稔りの時節 人は歓びの中に鎌を入れる
騒々しく コンバインたちがたち回り
やがて 大地は漆黒の時に戻る
冬
一面の銀世界に
猛々しく湯気が立ち昇る
威勢よい男たちの怒号の中に蒸された米が
つぎつぎと樽に放り込まれ
清冷なる京水が注がれる
一刻を経て 静かに泡立つ醪は
かき香らす櫂の動きとともに熟成の時を待つ
水の輪廻は大地を潤し 稲を育み米を作る
そして 酒を醸し出し 我らと共にある
人びとの技と汗に 先ずは一杯
豊饒の大地 ふくよかな水の恵みに
乾杯 乾杯
朝靄の中に 大地をうなうトラクターの響き
芽吹いたばかりの若苗が柔らかに輝く
やがて 水が張られ 代掻ききされた水鏡は
かげろうの中に田植えの時を待つ
夏
薫風にそよぎ 梅雨の湿りの中で
稲は緑を濃くし 水面を覆う
容赦ない陽射しの影で 鴨やどじょう 虫たちが
忙しく動き回り 人は水野駆け引きを怠らない
やがて 孕み 出穂の時を迎える
秋 突きぬけた青空の下 黄金の波がそよぐ
トンボが舞い スズメたちがさえずる
稔りの時節 人は歓びの中に鎌を入れる
騒々しく コンバインたちがたち回り
やがて 大地は漆黒の時に戻る
冬
一面の銀世界に
猛々しく湯気が立ち昇る
威勢よい男たちの怒号の中に蒸された米が
つぎつぎと樽に放り込まれ
清冷なる京水が注がれる
一刻を経て 静かに泡立つ醪は
かき香らす櫂の動きとともに熟成の時を待つ
水の輪廻は大地を潤し 稲を育み米を作る
そして 酒を醸し出し 我らと共にある
人びとの技と汗に 先ずは一杯
豊饒の大地 ふくよかな水の恵みに
乾杯 乾杯
2007年 斎藤健一作