コラム「つらつらと」

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米騒動に思うこと

2025年4月 菅原孝明

   昨年から「令和の米騒動」が収まらず、各地の消費者の方々から現状の混乱について多くの質問を受けました。一人の米生産者として令和の米騒動の真相を考えてみます。

 

   平成の米騒動は 平成5年に自然災害が主な原因で冷害により米が減収して起こりました。食べるコメがなく外国産の米を輸入せざるを得なくなりました。しかし、翌年には豊作だったため米がダブつき、価格は下がり現在のような価格高騰は続きませんでした。

 

   令和の米騒動は 国の政策のまずさから発生したと考えます。平成の米騒動後、強制減反政策は廃止されましたが、毎年米の消費量が減少すると予測されて米価格維持という名目で自主的な減反政策が続けられました。それに伴い各県が年ごとに米作付面積目標を設定しています。今年度は一農家あたりの作付け可能面積の40%が主食用米以外の農産物(転作作物)を生産しています。
転作作物は加工用米(酒米や餅・米菓原料など)、飼料用米(畜産のエサ)、備蓄米(年間約30t程度を毎年生産し100tを目途に備蓄。古米から飼料用米として払い下げ回転備蓄。また緊急時に放出して食用にする)、そのほかに大豆・麦・野菜・ソバなどがあります。

   これらの転作作物の栽培計画・生産調整方針を作成し提出しないと国で支援する事業の補助金を受け取ることができません。表向きには、農家が自由意思で選択していることになっていますが、実際には、、、。

   国は過去のコメ不足を反省して用途別に色々な米を管理しています。平成の米騒動と違い多用途に対応できるお米を備蓄してあるのです。今回は食用に回すことができる備蓄米を活用し放出させました。農家の資材肥料など高騰しても唯一反映しなかった米価格を是正しょうと考えたこと、「消えた21万t」を市場に出させることを狙って備蓄米の放出を遅らせたのだと思っています。放出が決定してもコメ市場が動かず政府は慌てているように感じます。

 

   庄内協同ファームの生産者は地球環境を考え栽培方法を変え、なんとか価値のある農産物を生産して手取りを増やす努力をしてきました。大規模化だけを目指した一般の生産者はこの価格で一息ついたと歓迎されています。

   これまでは時給10円が農家の実態でしたから。

   しかし、現在米の小売価格は高騰しており、丹精込めて作った有機栽培米の価格をはるかに超えています。米の流通の自由化により数量制限はありますが誰もが購入販売できるようになりました。新参入業者が買い付けた為に統計上、米の21万tが行方不明といわれていますが、本当に存在するのか定かではありません。

   食糧事務所の統計上の収量と、生産現場の実収量の相違、直接取引買い付け量の増加等々、昨秋の新米が流通後すでに先食いしてしまっていて、行方不明の米はないのではないかと思います。

   コメの先物取引市場の開設・流通管理などを市場だけに任せたツケが現在のコメ高騰に繋がっているのではないでしょうか。

   備蓄米の放出は大量に放出して最低21万t以上として、市場からの買い戻しをしないことも考慮に入れなければ価格を抑えることが出来ないと思います。鈴木宣弘東大教授が「減反政策をやめ、水田には自由に米を作らせて余剰分対策(備蓄・援助・輸出)した方が財政支出を抑えられる」と述べておられます。

   国は誰も気づかないうちに、作年度「食料・農業・農村基本法」が改正されたました。食料不足が顕著になった場合「食糧緊急事態」を宣言し、国が定めた栽培・生産計画を提出しない農家は過料(刑事罰)とするという法律が閣議決定されました。(2025年度4月施行)国は食糧自給率向上対策目標実現を放棄し、責任は農家に押し付けるという不条理な法律を作ったのです。

   許されるものではありません。

   政治資金は企業団体から、選挙の票は農家から、これが票田という言葉の由来だそうです。しかし、現実は農家の票で当選しても、お金をもらった企業団体寄りの政策になるのは至極同然のように思えます。

そういう構造に我々農家は気づかなければなりません。

 

   30年近く続いた低米価により農業の後継者は減少の一途をたどっています。我々の世代が引退した後の農村社会がどうなるか、私は心配です。

   庄内協同ファームは産直で消費者と繋がっているので、共に立場を理解しあい、過去に学んで歩んで行ってほしいと思います。

   今年はただただ自然災害がないことを願うのみです。

   古希を過ぎた我々モノ言う団塊の世代はどこにいるのだろうか

   現在の世相はフェイク情報元に「脅し」を言ったもの勝ち(現在のトランプ政権・NHK党の言動など)の先に見える「ファシズム」の予感がする。

   末恐ろしいと思うのは私だけだろうか。

   我々が30代に立ち上げた【庄内農民レポート】の記事から

「モットイジメテ」と云う百姓にだけはなりたくない
自立した農民に

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