庄内協同ファームだより

トップページ > 庄内協同ファームだより > 庄内協同ファ-ムだより 2002年11月 発行 No.90

田舎が元気じゃないと、都会も元気にならない!

鶴岡市  冨樫 俊一

 秋を飛び越え冬がやって来た。そんな言葉がぴったりの11月中旬の天気であった。連日の雨やみぞれ。そして、ついには本降りの雪の到来。
おかげで大豆や自然乾燥の稲などは、収穫や調整が出来ずに大変な思いをした年である。ちょうど今年1年の農業情勢と良く似ている。
 BSEに始まり、偽装表示、そして無登録農薬問題と農家にとっては大嵐の1年であった。

 安全とおいしさ。そして「生命力のある食べ物」作りを目指して頑張ってきた我家でも、今年は手痛い洗礼を受けることとなった。イネミズゾウ虫の大発生で田植をしたはずの苗が消えてゆく。必死に対策を講じる息子の努力をあざ笑うかのように、その勢いは止まるすべを知らない。御陰様で反収4俵という原価割れの結果に相成った。経営者としては「早くあきらめて農薬を散布したら…」と思うのであるが、一方では私達がずーっと目指してきた目標にむかって必死に頑張ってきた結果だから仕方ない。アフガンや北朝鮮に比べたらまだ天国よ!と自分に言い聞かせる。納得させる。うーん。これだけ化学が進歩したというのにイネミズゾウ虫ぐらいに手を焼いているとは情けないものである。化学肥料や化学農薬を使わないで作物を作るということは大変なことで、まさに江戸時代へタイムスリップしたようなもので、手探りでやっていくしかないのである。

 こんなにひーひー言いながらやっているというのに、一方では無登録農薬問題で尾ひれがつき、特定農薬ということで有機栽培で使用されている資材で例えば食酢、トウガラシとか牛乳とか土壌消毒する為の熱湯でさえも国で認めなければ無登録農薬扱いにされるとか?
 今まで農薬散布の旗振りをしてきた農水省。消費者意識が変わるやいなや変わり身の早いこと。今度は一転、環境保全型農業と来たもんだ。こんな人達に認めてもらわないと有機栽培も出来ないとは。もう本当になにおか言わんやだ。
 そんなあなた達へ贈りたい賞があります。田中さんが話題になったノーベル賞ならぬ「農、減る賞」を記念に受け取ってください。迷惑している農家、消費者から哀を込めて贈りたいと思います。

 とはいえ、世の中どうあろうとも食べ物がなければ私達は生きてゆけません。身体は食べ物で出来ています。食料の海外依存率が60%を越える今、消費者と生産者が本気になって「食べ物」を考える時期にきています。日本の中核農家の平均年齢は67歳を越えようとしています。食料の自給率向上を決めた国会決議はどこへ吹っ飛んだやら!衛営とつないできた農業をここで途絶えさせてはならない。
 生産者と消費者が互いに支えあい、互いに安心安全の生活が出来るようにもう一踏んばり頑張りましょう。  田舎が元気じゃないと、都会も元気にならない。

 協同ファームではいよいよ餅つきの最盛期を迎えます。今年も安全安心で美味しい田舎の元気を皆さんにお届けします。楽しみに待っていてください。それでは、また会いましょう。
あー、忙しい忙しい。

スケッチ 柿の収穫を終えて

藤島町 志藤 知子

 東北の冬の訪れは早く、11月初めからの雪混じりの冷たい雨が、厳しい季節の到来を思わせます。今年は、ゆっくりと紅葉を楽しむ天気にも、時間にも恵まれず忍び寄る冬に全てを奪われないように、収穫を急ぎ、雪の前に片付けなければならない作業に追われて、短い秋の日は飛ぶように過ぎていきます。

 我が家では、柿の収穫と青豆の刈り取りが終われば今年の作物は全て終了なのですが、今秋は来る日も来る日も雨、それも晩秋特有の雪混じりの雨にたたられて大変な毎日でした。風雪の中での柿もぎなど滅多にないのですが、悪天候続きで、天気を選ぶ余裕もなく、どんな日でも、朝になるとどの家からもシートで覆ったトラックが飛び出して行きました。

 そんな秋を通りこして、柿の出荷も全て終わり、ひと仕事の区切りがついて少しホッとしています。ひとシーズンで約8トンの柿を収穫し、脱渋を済ませ、そのほとんどを生協や共同購入会向けに、減農薬栽培の柿として産直をしています。その中で今年は、柿が黒ずんでいるとの問い合わせが二件ほどありました。その事について少し書いてみたいと思います。
 今年度の当地での農協出荷向けの柿は、殺菌剤・殺虫剤の組み合わせで、5月30日から7回行なわれました。その都度、指定された日に、薬剤調合所に行き、薬液の供給を受け防除を実施します。合計14農薬を確実に散布しないと共販はできないきまりになっています。そんな地域の環境の中で、私達は、天恵緑汁や玄米酢、木酢液などの有機資材を中心に、6農薬プラスした形での防除方法をとっています。自家製豚糞堆肥やボカシなど有機資材の投入を中心とした土づくり、除草剤を使わない草生栽培、日当たりや風通しの良い環境づくりと様々な工夫をしながら、より安全でおいしい柿作りを目指して頑張っています。
とは言え、ここは平核無柿の北限の地とも言われています。基準の半分以下の農薬でしかも厳しい気候の中で慣行栽培の柿と同じように、つややかで見た目の良い柿を作るのは大変な事です。今年のように雨続きだと、7回防除を完全実施しても、尚、園地によっては、汚染果が多かったという情報もあります。

 自分の栽培した作物をより商品価値の高いものに仕上げる為に、生産者は防除に励みます。害虫や病原菌の被害を最小限に押さえ高い市場評価を得る為に多くの労力と資金を費やし、規定通りの防除を行うのです。
見た目の良さイコール品質の良さという固定概念は、生産者側にも買い手市場にもそして消費する側にも深く浸透していて、安心安全を求めつつも、見た目の良さも捨て難い価値観として存在しているようです。
 減農薬なのだから多少のことは仕方ない、などと開き直る気持ちなど毛頭ないのですが、果樹の場合、農薬を減らせば場所(立地条件)によっては、うす墨を流したような汚染果が多くなる事を理解していただけたらと思うのです。
 加えて今年は終盤、あられやひょうの害もありました。その痕跡が黒ずみに追い打ちをかけたということもあったかと思います。期待に沿えなかった方ごめんなさい。きれいな柿の届いた方おいしかったでしょうか。

 皆様から届けられる様々の声に耳を傾け、これからも安心、安全を第一に生産技術の向上を目指して頑張っていきたいと思っています。 柿を通して私達とつながって下さった皆様に感謝をこめて“ありがとうございました!!”



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