庄内協同ファームだより

トップページ > 庄内協同ファームだより > 庄内協同ファ-ムだより 2002年7月 発行 No.87

有機栽培認証に取り組んで

三川町  芳賀 修一

 例年にない例日の雨が続いた梅雨も、やっと明け、いきなり猛暑となり汗だくの毎日です。
庄内協同ファームで、有機認証制度に取り組んで3年目
私は,一昨年から枝豆、今年から枝豆と水稲を取り組んでいます。

ダダチャマメ

 枝豆は3年間有機栽培を継続したので、転換中の文字が取れ本当の有機栽培の豆が出荷できます。但し、面積を拡大しているので転換中の物と両方区別しながらの出荷となり、混じらないように注意しなければなりません。
 畑の状態は、長雨の影響で下の葉っぱが黄変し、草型が小さく豆の成りも少なく収量が心配です。
 もうすぐ、収穫を迎えますが、昨年はお盆頃から葉ダニが大発生し、唐辛子エキスを3回散布しても止まらず,実入りを悪くし、収穫をあきらめた場所もありました。今年は、もう一つ「ニーム」(インドセンダン)の葉と実を煎じたエキスを掛ける予定です。ニームは最近殺虫効果がある植物として脚光を浴びており、有機栽培で使われ始めました。

水稲

  水稲の方は、今年から庄内協同ファームのメンバー10人ほどで紙マルチ田植機を購入し、私は50㌃作付けしました。
 作業は通常の田植機の3倍も時間が掛かりましたが、慣れればそう苦にならない作業でした。
 紙の除草効果は抜群で、水を足すだけのほったらかしで、なにも生えていません。紙の隙間はコナギが大発生で効果の比較が一目で分かります。
 但し、当初期待されたイネミズゾウムシの発生抑制は出来ず、畦畔周辺2㍍ぐらいは、生育が停滞し、今でも5~6本の分けつしか有りません。(通常一株20本以上になる)収穫量は通常の7割いけば良い方で、まだまだ経済効果は期待できず、実験段階です。

有機認証制度について

今年の枝豆の袋に印刷された有機JASマークを見ながら、どれ程の人がこのマークの意味を理解しているのか心配になりました。
 認証のマークは印刷すればいくらでも出来そうな気もしますが、このマークを取得するまでの膨大な手間、と費用、そして生産の記録、報告、監査、等等書ききれないほどの行程が有ります。そしてマークやシールは廃棄も含めて厳重に数量管理され他に流用できない仕組みに成っています。
 しかし、残念ながらマーク一つで有機農産物としての商品形態を表しており、法律で規制された間違いのない表示として一人歩きしてしまい、生産した私達の思いや、苦労、喜びも伝わってゆかない気がします。
 農産物を取り扱いする人達にとって表示が無かった時代は、栽培方法、生産者の紹介等、様々の方法で農産物の持っている情報を伝え宣伝して売り込みますが、認証農産物は、説明の必要のない間違いのない商品として売り込まれがちです。
 認証の仕組みは、消費者にとって品質を間違い無く法律で認定してくれる事で選択をし易くする意味がありますが、逆に昨今の表示へ疑問が広がる中で、信頼が薄らぐ事が心配です。
生産者としても、認証されたことで安心せず、より多くの情報や、思いを伝えることが必要と思います。

スケッチ ~私にとって絵を書くと言うこと~

余目町 富樫 裕子

夜、電話に出た私の耳に「こんばんは、菊です」となつかしい声。成田に着いて、今遼子の所にいるという。彼女は両親とも日本人だが、ドイツ生まれのドイツ育ち。次女が高校一年の時、半年間我が家にホームステイしていたのだが、夏休みを利用しての日本に遊びに来たらしい。お盆に遼子と一緒に帰ってくると言う。「成長したのか」の問いに「変わりませんよ」の後、しばらくして「ウフッフッ、庄内弁なつかしい」の声。5年ぶりだろうか、彼女ももう大学生。時がたつのは早いものです。しかし考えてみると、菊ちゃんがドイツに去ってからの5年の間に我が家はなんと次から次へと色んな事が起きたろうか。まずは、次女のアメリカでの一年間の高校生留学。帰ってくるまで心配の連続で、心休まない日が続いた事。そして、その後の大学受験。そして忙しい稲刈りと花の収穫を前に私の突然の入院。何ヶ月もの間、夫を落胆させ奈落の底に突き落としてしまった。

 その後、100歳にあと一歩という97歳で逝ってしまった祖父。大学を卒業し、長野の大学校に研修に行き、やっと就農かという長女といれかわる様に3ヶ月あまりの闘病の末、亡くなってしまった舅。やっと落ちついたかと思った矢先、長女が以前から付き合っていた人と結婚したいという。母ひとり子ひとりの彼との結婚は、夫も私の気持ちも重くした。結婚は許したものの、お互いの立場から、どういった選択、生き方をしていくのか悩んだ末に、サザエさんのマスオさんの形で、彼は私たちと一緒に農業をする事になった。今年の4月には孫も生まれ、娘はもっぱら子育てに忙しく、彼と一緒に農業をするのは、夫と私。慣れない仕事に嫌な顔もみせず、明るく振るまってくれる新しい息子に感謝している。「友達に農業する事になったと言うと、必ずビックリする。夢のある仕事だと思うんだけどなあ」と彼は、ラズベリーで観光農園をやりたいという娘の夢を一緒に叶えるべく、家の仕事の合間をみては、今年買って植え付けた苗の手入れに余念がない。

「農業はふたりでやるから楽しいんで、ひとりでやっても楽しくないぞ」そう娘に言い続けた私としては、良きパートナーが出来てほんとうに良かったと思っている。互いに助け合いながら仲良く農業をやっていってほしいと願っている。  早朝、夫と2人で田の畦の草刈をする。私にとっては、今年で26回目の稲作りだ。2人並んで草刈機を動かしながら、ひとりやっても楽しくない、ふたりだから草刈も楽しいんだよネと夫の方を見ると脇目もふらず、ひたすら前を見て機械を動かしている。今は青々としている稲たちも、もうすぐ白い可憐な花を咲かせる。今年の稲刈りはいつ頃になるだろうか。それまでは台風なんか来ません様にと願いながら、私も夫に負けずと機械を動かした。キーン、キーン。2人の草刈機の音が、青い空に響き渡った。

とがし家

とがし家

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