庄内協同ファームだより

トップページ > 庄内協同ファームだより > 庄内協同ファ-ムだより 2001年 1月 発行 No.71

「土を買う」 

五十嵐良一 鶴岡市

我家では、米とメロンが経営の柱です。その中で、苗を育て植え付けるまでは育苗土が必ず必要です。そんな中で、わだかまっている事があります。「土を買う」という事です。
作物の育苗土を最近はほとんど購入し育苗するのが普通ですが、まわりは全部土というのにそれが利用できないという事を考えています。出来るけどやりたくないのか、やりたいけれどできないのか、自身の考えの中でわだかまってしまいます。

私達の法人、庄内協同ファームでは、昨年新JAS法下における有機認証制度のもとで「でわのもち」「ひとめぼれ」「はえぬき」を転換期間中有機栽培米として認証を受けました。そして、有機栽培米のモチとして加工販売できる事となりました。栽培の上では、十年程前から減農薬減化学肥料の取り組みが始まりでした。組合員それぞれが農薬を減らし、化学肥料を控え有機肥料の度合いを増しながら試行錯誤の繰り返しでした。

私の場合は一部の圃場で収量には課題はあるものの3年前よりやっと無農薬・無化学肥料の有機栽培米を収穫できました。その中で一番の課題は育苗の有機化でした。種子消毒を薬剤に頼らずに「温湯浸法」し、育苗後半頃から全面水を張る「プール育苗」で健苗とはいえないまでも病害虫や障害を出さずに全面植える事ができました。

昨年の6月、有機認証圃場検査の時の事です。「育苗の土はどんなものですか?」「山土を購入していますが・・・」「それを証明する事が出来ますか?」私は、青色申告用の帳簿領収書綴りから購入土先を提示しました。
「覆土や混合している砂は、どこから採取したものですか?」「我家の砂丘畑の作付けしていない隅の方からです。」「それでは圃場の地図と住所地番とその場所を明記して提出してください」「はい」。

環境を考え有機栽培に取り組んだ思いの中で、育苗土の購入も環境に影響を与えているという事を改めて強く感じさせられました。
メロンの育苗の場合は、落葉をかき集め砂丘畑の砂と自家製のモミガラ燻製を混合し購入培土は使用せずに出来ています。しかし、稲の育苗土の自家調達は労力、条件共に非常に難しくなりました。

私達の仲間のTさんは、10ha余りの稲の育苗土は、田んぼの土を取り乾燥させ砕き肥料を混ぜ使用していると聞き驚きました。
土は1枚の育苗箱に約4㍑必要です。10aに25枚使用すれば10?で10t車1台分必要となります。作業や労力を考えると驚くばかりです。しかし我家の場合は、圃場より採取できない理由があります。雑草、特にヒエの発生です。十年程前よりの減農薬の中で収穫時までヒエの種子をこぼさずに取りきる事が出来なくなり、翌年その圃場の土を使用し育苗中のヒエ取りはかなり大変でした。
母に小言をいわれながらも忙しい春作業の中、3~4日かけて取ってもらったにもかかわらず圃場に植え付けたものもありました。その年は悲惨でした。4ha程の我家の圃場すべてが株ビエで、一目で我家の圃場が識別出来る様になり、家族に「村の皆が土なんて買っているんだから」と言い含められました。結局その年も夏のメロンの収穫、大根の蒔きつけで手がまわらず取り切れなく、それ以来購入した育苗土で稲の苗を育てる事となりました。 ヒエの種は、7年は残ると言われています。土を買う行為、わだかまりながら考えていきたいと思っています。

スケッチ

菅原すみ 三川町

風音もなく静かな夜明け。遠くに除雪車が忙しく動く音が聞こえている。夜中にまた、のっそりと雪が降り積もったらしい。雪だるまのように着こんで起きてみると、昨晩、除雪したビニールハウスの通路が屋根から落ちた雪と積雪とで埋まり、かまくらのようになっている。雪を捨てる場所も、もう山のようになっていて、雪を運び出すトラクターの上で夫は苦心している。暖冬に慣れてしまっていて、これほどの大雪になる冬を迎えるとは思っていなかった。

自給用野菜ハウスの入り口を確保して中に入ると、外の吹雪が嘘のように静かで、チンゲンサイ、春菊、ほうれん草などが凍ってはいるものの青々としている。耐寒性のある冬野菜は寒さで甘味が凝縮されておいしくなり冬の食卓を豊かにしてくれる。
今朝のごちそうは、春菊のごま和え大根の煮物にしよう。漬物蔵に寄り赤かぶ漬、紅花で着色した紅花たくあん、山形青菜漬も持っていく。樽の中に入れた手は切れるくらいに冷たくなった。雪室のようになった蔵は漬物の味の変化を抑え春がくるまで保存することが出来る。ぐるっと家の周りを歩いて食材を調達し台所に戻る。ストーブとごちそうを作る火が雪だるまを溶かすように体と気持ちを暖かくしていく。

今日は、遠くに暮らす娘と息子にお米を送る日。仕事バリバリ社会人一年生の娘は、ごちそうも一緒に入れてとのこと。自炊生活をしている料理好きの大学生の息子は野菜を入れてとのこと。おムコさんに喜ばれそうな娘と、今すぐにでもお嫁さんになれそうな息子。2人の大好きなおもちは、蔵開きをした鏡もちを薄くスライスしたのを入れる。出来たてのうどんや鍋物に入れるだけですぐにやわらかくなり便利だ。少し硬くなってきた干し柿はフルーツケーキにして焼くとまたおいしい。節分用の豆は少し砕いてクッキーに混ぜると香ばしく、節分豆クッキーとしてまた楽しめる。

冬の庄内の味をたっぷり詰めた2つのダンボール。宛先が逆だったらと思いながらもせっせと荷造りをしている。夫には、また親馬鹿が始まったと言われるが、私が親にしてもらったことをまた子供に送っているだけ。生まれ育った味は細胞を元気にしてくれるから。
大雪のこの頃、少しづつ日暮れが遅くなってきた。暦の上では、そろそろ立春。子供達が小さい頃にしたように軒下に下がった「ツララ」を鬼の角にして、鬼の雪だるまを作ろう。雪玉を投げて「鬼は外、福は内」・・・・・。
今年も良い年でありますように。



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