庄内協同ファームだより

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小春日和に思いつくまま

冨樫 俊一 2000年11月23日

きれいだのおー!霊峰月山、そして鳥海山。 まっ青な小春日和の青空にずっしりと横たわる様に、しかも悠然と白いものを頂きに装いつつ!
我等が庄内の誇り。ああー見せでやっでのー。皆んなさ。

 冬は、かすかな足取りで確実に近づいています。ここ庄内は地吹雪の名所。そんな厳しい冬に備えて、天気のいい日には家の回りに家族総出で雪囲いをしたり、冬に食卓を彩る白菜やらキャベツ・大根などを畑からつんでは新聞紙に包んでつるしたり、土に埋めて保存したり、つるべ落としの短い一日を忙しく過ごしています。

 しかし最近はそんな姿もめっきりと少なくなって、働き手は生活のために日銭を稼ぐために精一杯。限りなき米価の下落、転作の強化。洪水のごとく押し寄せる輸入農産物。後継者に継いでくれといえない今の農業情勢。数えあげたらきりがない。先行き不安に押し倒されそうになりながらも、食べてくれる皆さんがいてくれることを励みに、何とかがんばろうと声をかけ合う。
「安くて安全でおいしくておまけに環境にやさしくて」なんとも欲張りな消費者ニーズ。戸惑いながらもそんなわがままなニーズの一部にでも応えようと協同ファームでは、有機栽培へ取り組んだ改正JAS法に定められた認証制度による栽培へのチャレンジ。
 膨大な記録簿、百姓の一番不得意な所。これが嫌だから百姓したのに。人に干渉されるのが嫌だから百姓したのに。この年になって何でなの!ボヤキとも嘆きとも、悲鳴ともつかぬ言葉が飛び交う。

 思えば私も有機栽培を志してから10年近くになる。横浜港に陸上げされた輸入農産物の実態を目の当たりにして、これが人の体を作っている食べ物の姿なのかと愕然として、これではいけない。何とか本物の食べ物を作らねばと思い立って始めた有機栽培。それまでは近代化農業という名のもとに機械化して化学肥料、化学農薬を駆使して収量をあげる事に全知全霊をかけて奔走した日々だった。
 しかしある日、努力すればする程土をいじめていることに気づき、今まで百姓してこれたのは、先祖が頑張って土を作ってくれたおかげ。私が次の世代へ残してやれるのは、壊れた固くしまった土と汚れた空気。これではあまりに恥ずかしい。悔いが残る。

そうして始まったのが、今の遊喜栽培、自然農業である。厳冬のハウスの中で、春に種を蒔いてたわわに実る稲や枝豆の姿を思いつつボカシ肥料(発酵肥料)作りに精を出す。微生物の力を借りて、切り返すたびに放つ芳醇な快いにおいを体一杯に吸い込みつつ、楽しみながら遊び心を持って百姓をしている。いやつもりだ!  今年からは就農2年目の息子に稲作りをまかせ、私とかあちゃんはだだちゃ豆作りに専念する。
なんかさびしくもありうれしくもある。仲間は贅沢な悩みというが経験した者でしかわからないこの気持ち。
そう言えば、おつむのあたりも心なしか秋模様。ハラハラと散る落葉にもなぜかいとおしさを感じる。もうすぐ冬だなあー。ITに取り残されたおっちゃんは今日も迷走する。



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