庄内協同ファームだより

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『鍋底だいこん』

五十嵐ひろ子   鶴岡市   2000.1.28

雪のしんしんと降る夜の9時も過ぎた頃、私は『おでん』を作る為台所に立つ。毎日農作業に追われ、食事の支度から子供達の弁当作りまで義母に任せっきりになっている私にとって、冬期間は台所に立ってるのが嬉しく、フツーの主婦に戻れる時間である。夜の内に大きな鍋に作っておいて、翌日、味のしみ込んだおでんは格別の味だ。

必ず入れるのは大根。砂丘畑育ちの青首大根は農薬を使わず、越冬用として沢山貯蔵してある。大根は太めの物を選び、食べごたえを考えると切る厚さは2㎝位が良いと思う。他に昆布、つみれ、いか天、ちくわ、ごぼう巻。卵も忘れてはいけない。時には志藤さん家の豚肉も入ることもある。「いい匂いだのー」と中3の娘達がやってきて大根をパクリ。某美人女優がビールのCMで「鍋底だいこーん」と言っているのに影響され、週一回はおでんに缶ビールを飲むのが、冬の夜の秘かな楽しみとなっている。なにもかも雪で覆われている冬は、日常雑多な忙しさまでも忘れさせてくれる。

「手作りグループ」の漬け物の作業は、並行して行われる。FAXで注文が入るとグループのお母さん達は我が家の作業場に集合し、仕事に取りかかる。12月は目の回るほどの忙しさだったが、ベテランのグループ員の皆は手際よく仕事をこなしてくれた。張りのある生活は表情を生き生きさせる様だ。

さて、漬け物の仕事が休みの日は私の天下。主婦らしく朝食の準備をし、子供達を送り出し、洗濯機のスイッチを入れお茶を二杯いただく。そして車庫の二階へと向かう。ここは農業資材置き場になっており、メロンやミニトマトのダンボール等色々。棚卸しも兼ねて片付けながら絵を描くスペースを作る。四畳半位の広さに、私の絵と夫が描いた絵。加えて長女の高校時代の絵がひしめき合っている。

結婚当時は「20年後にはアトリエを建てて・・・」と夢を見ていたのだが、子供の教育費に姿を変え、アトリエの夢は叶えられそうにもない。でも車庫の二階のこのスペースが分相応のアトリエなのかもしれない、と最近は思っている。1月中旬からNHKギャラリーで白甕社新春展が開催され、私は水彩、油絵の二点を出品した。大家の作品と並んで私の絵は、見る人にどのように映ったのだろう。それは自分の裸をさらけ出す様に恥ずかしい事であるがいつか快感に変わるかもしれない。

マイペースで続けていこうと思っている。 2月末からはハウス内でメロンの作業が始まる。ゆっくりと時間を使えるのも一ヶ月くらいしかない。又、義母に台所を任せて朝仕事からハウスに入る事になるだろう。農繁期には休日もなく山脈的に連なる農作業を強いられる。夫婦協定とか家族協定とか勉強会で知識だけは得たが給料、休日、後継者も含めてその域ではない。
農作物の認証に関してもっと学習し、それに伴い我家の作業形態、作付面積等々、この冬の間に夫と話し合う時間も作ろう。そして晴れ間を見て画材店に絵の具を買いに行こう。



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