庄内協同ファームだより

トップページ > 庄内協同ファームだより > 庄内協同ファ-ムだより 1999年10月 発行No.58

さあ、もうひと頑張り

冨樫俊一  鶴岡市 1999.10.29日

 今年も冬の訪れを告げる白鳥がやって来る季節となった。慌ただしく生活しているせいか、一年が毎年短く感じられてしょうがない。
春先から色々あった 思えば春先から色々あった。まだ若いと思っていた私もあっちこち、がたが来て生まれて初めて入院を経験する事になったり、息子が新規就農し、娘は就職が決まりホットしたかと思えば、下の娘が、さあ今度は私の番とばかりに東京へと進学。細るすねを見ながら、「かあちゃん、もうひと頑張りだのう」と励まし合う。
 気がつけば私達夫婦も今年で結婚25周年。波風たてながらもやっとたどり着いた道だ。これからも懲りずに宜しくお願いしたいものだ。いやお願い致します。

我が家は茅葺き屋根 我が家はまだ茅葺き屋根の為、これから天気の良い日には昔ながらの茅刈り作業をします。草刈り機械で茅を刈り、古い葉を落とし束ねて乾燥させます。春になると家へ運び夏に屋根の修理に使います。
 大変な作業ですが、今の時期は美しく紅葉した月山や鳥海山を眺めながらの仕事で気持ち良く、爽やかないい気分になれます。
 今年からは息子も参加する事になり、いつまで続けられるかはわかりませんが、楽しみながらやりたいと思っています。夏は大変涼しく、冬もすきま風でこれまた涼しいのですが?村に一軒しかなくなった茅葺き屋根、職人さんも少なくなり大変ですが大事に守って行きたいものです。
 人並みよりも自分らしく、ガマンばかりの人生では、生きている意味が無い。名誉や地位の為に四苦八苦する様な人生は送りたくない。やりたいからする、好きだからする。そんな風に生きたいと最近思っている。
 世の中はリストラの嵐。農家も毎年大変厳しくなっているが、あたふたしても始まらない。この際ド-ンとはじけて開き直ってやってみようではないか。今を頑張らないと、次へは続かないから。

 11月に入ると庄内協同ファームは1年で一番忙しい、活気あふれる時期を迎えます。狭い加工場にひしめき合うように大勢の人が集まり餅つき作業が始まります。
忙しいことはいい事だ。食べてくださる皆さんに感謝しつつ、さあ今年もいよいよ終盤戦。餅つきも我が家も、もうひと頑張りです。

スケッチ

菅原すみ 三川町 1999.10.25日 

 刈り取りの終わった田圃の静寂とは対照的に山々は紅葉で華やかになり、里では柿が橙色に色染いて豊穣という言葉がぴったりの秋の風景が広がっています。
 異常に暑かった今年の夏、息苦しくてこのまま倒れてしまうのではと思うことが何度もあって畑に出るのが嫌になる日が続きましたが、あの汗を流したぶんだけ実りの秋を嬉しく感じます。
秋祭りの日 今日は町内会の秋祭りの日、穏かに澄んだ秋晴れの朝、村中に響くほら貝の音を合図に公民館に人々が集まってきました。
出羽三山のひとつである羽黒山へ「五穀豊穣」「町内安全」の祈願マラソンをする出発式が行われるところです。「御祓い」をしてもらう羽黒山の社務所まで往復するとちょうど42.195㎞ だったことから、小学生から中学生へ、そして大人へとたすきを渡して走り継ぐリレ-マラソンがはじまったのです。第一走者は、稲の歩刈りで多収穫1位になった人に決まっていて拍手に送られて走り出していきました。
 マラソンの帰りを待つ間、公民館では昔の若者たちが順番に杵を持ち30kg の餅をついていきます。蒸したもち米を臼にあけ杵で丹念につぶした後で杵つきを繰り返し、粘りのある餅に仕上げていく技の見事さには感嘆するばかりです。大広間には健康食が展示されていて、作り方を聞いたり試食をしたりして日頃の食事作りの情報交換にするのですが、村のおじいちゃんおばあちゃん達はとても元気で70歳80歳でも現役で自給用の畑作りをしている家が多く、丹精こめた畑から摘んで来た野菜の煮びたしが一番の健康食だったりして、どうということもなく当たり前のように食べている食事のありがたさをつくづく思ったりします。

 これから晩秋、初冬にかけては漬物のおいしい季節となりますが、ピリッと辛みのある山形青菜漬、紅花で色付けしたたくあん漬け、赤紫色の甘酢味の赤かぶ漬、定番の白菜漬、キムチと漬け物樽が並んでいく我が家の納屋の光景を思い描いてうっとりしているともうそろそろお昼、御札をいただいてマラソンから帰ってきた人達に最後の餅つきを手伝ってもらって、あんこ餅、肉汁餅にして賑やかな昼食となります。
一番きつい山道をマラソンするのは中学生だったり農協の指導員だったり学校の英語教師のアメリカ人だったりその年によるのですが、今年のヒ-ロ-には大盛りにしてふるまい完走をねぎらいます。
 後片付けをしながら、それぞれの家の自慢の一品をまたごちそうになり、そのコツを教わりあうのですがこういう風にして昔から伝統食や風土食は受け継がれてきたのだなと思うのです。
村祭り原風景の一つとなって 五穀豊穣の言葉も知らない小学生と保育園児の頃から参加していた娘と息子はもう大学生と高校生、参加することはなくなりましたが、こういう村祭りが幼い頃を思い出す原風景の一つとなっていくのでしょう。
私もこの地に根を張ってもう23年、豊穣なる実をつけられるように技を磨き一人前の農婦になりたいと思っています。
 霜月に入ればそろそろ初雪の日もあり、大地が眠りにつく冬ももうすぐそこです。
冬の間、心ゆっくりと暮らせるように畑の片付けや漬け物の準備などもうひと頑張りです。



ページの先頭へ戻る