庄内協同ファームだより

トップページ > 庄内協同ファームだより > 庄内協同ファ-ムだより 1999年3月発行 No.52

今年の作業計画

芳賀修一 三川町 1999.3.27日

数日前には突風と吹雪で冬に逆戻りしたかと思ったら、一転暖かい日が続き、いつの間にか、裏の川で餌をついばんでいた白鳥も一羽も居なくなり、土手の雑草も芽を吹き、すっかり春の様相です。田圃では、育苗の土を取る人がちらほら見え、本格的に春作業に入り始めました。 私達は、明日から堆肥散布の予定です。

私達は二人で「庄内協同農産」という生産法人を作ってから早くも、5年目に入りました。皆さまにご愛用頂いている、きなこの原料の大豆や、麦茶の原料の大麦、それと米を栽培し、玄米アラレや麦茶の加工をしています。毎年、水田には堆肥を入れ、農薬は除草剤一回だけで栽培してきましたが、今年から更に有機質割合を高めるために「放線有機」という粒状の天然由来100%の肥料を使い、化学肥料は極力少量に抑える予定です。

但し、有機質が分解吸収されるためには気温の影響が大きく、生育の予想が難しい事も有り、まだまだ収量が少なく、コストが掛かり、ご利用いただく皆さまには価格が高めに成ってしまうことをご理解いただきたいと思います。又、殺虫殺菌剤を10年ほど使わないで来ましたが、ここ2~3年田植えをした直後から、「イネミズゾウムシ」と言う、アメリカから何かにくっついて運び込まれた害虫が激発し始め、葉や根っこまで食い荒らし、稲が無くなってしまう所まで出始めました。

普通、害虫には天敵が必ず居るのですが、輸入種には天敵が居ないのか減る様子がありません。もしかして、今年も発生したら殺虫剤を使わせてもらうかもしれません。その節は何卒ご了承下さい。畑では、大麦が目覚めたかのように青く葉を立ち上がらせ始めました。追肥をして、生育量を確保し6月に刈り取りをします。

大豆は、昨年11月に季節はずれの大雪に逢い、4分の1の面積がつぶされて、収穫できなくなってしまいました。見込みで4トン程の被害で、経営的にはかなり影響が残りました。今年は昨年の分も挽回したいのですが、天気任せの要素が大きく、半分神頼みの心境です。田圃も畑も、農薬をなるべく使わず、有機質肥料を中心とした栽培に全部切り替えが出来ればいいのですが、いっぺんには出来ません。昨年から協同ファームでは、皆でぼかし肥料を作って元肥にし、更に米糠を散布して除草を兼ねる農法の研究をしてきましたが、今年も面積を拡大して実験研究する予定です。結果は、うまく行ったり、失敗したり様々で簡単に面積を広げることは出来ません。

もうすぐ、農林省の有機農産物の基準認証の法制化が成される様ですが、作物の違いや、地域の条件の差を画一に一つの基準でくくれるのか、個々の様々な実践、研究が発展する事に繋がるのか、疑問が残ります。法律はどうでも、食べ物は安全で美味しくなければいけない事は間違い有りません。その事を基本に据えながら、今年も頑張ります。どうぞよろしく!

スケッチ

富樫裕子 余目町 99.3.15日

3月のお天気は、春になるための準備の月。昨日はあんなに暖かかったのに、今日は一転して粉雪が舞ったけ。体の方も少しづつ冬を卒業して春を迎える準備をする時です。私にとっては、今年はいつもと違う特別の春。いつもなら11月から2月までファ-ムで、仲間達との餅加工が終わり、いよいよ夫と2人の農作業に入る時期なのですが、夫のレポ-ト(ファ-ムだより)にも書いてあった様に昨年突然、腎臓を患い40日間の入院生活を送る事になりました。 レポ-ト発行の後、色々な方々からお見舞いや、はげましのお手紙をいただき紙面をかりて、厚くお礼を申し上げます。

退院の後、仕事らしい仕事もせず、一冬のんびりすごしたせいか、経過もどうやら順調で、今はほぼ正常値くらいまで回復する事が出来ました。入院中は、少なくとも1年くらいは農作業は無理と言われていたのですが、検査結果をみながらではありますが、少しずつ体を動かしていけそうでホッとしています。

春一番の作業は、稲の育苗用の土を田圃からとって乾燥しておく事。今は、どの農家も買う人がほとんどで、見渡すかぎりの田圃には夫と私、そして、今年は、私の事を気づかってか、春休み早々に帰って来た大学生の娘の3人。 CDラジカセを片手に大声で歌う娘の歌を聴きながら「それ誰の歌」...「ゆずっていう歌手だよ」と娘。21才の彼女にとって、ゆずの歌う歌詞は、今の自分の気持ちにピッタリくるものがあるらしい。

最近、長渕剛から卒業して、小椋佳の歌に凝っている夫。♪♪ 男と女 あやつりつられ 細い絆の糸引き引かれ 稽古不足を 幕は待たない 恋はいつでも 初舞台 ♪♪(夢芝居より)
 この歌に、中年おじさんは何か感じるものがあるらしい。

あの人、最近NHKの「ようこそ先輩」という番組で見たけれど、私が10代の時、「さらば青春」なんかで見た。銀行員と歌手の両方の顔を持っていた時より、ずっといい顔しているネと私。人の顔は40才からは、自分で作っていくというけれど中年になればなるほど魅力的ないい顔になっていく人っているよネ。それは、たぶん今、充実した人生を送っているかどうかという事。つまり、心と体のバランスのとれた生活が顔に現れるのかもしれない。

中年おじさんとおばさんの私達は、少しくらい魅力的な顔になったかしら。そんな事を思いながらスコップを動かしていると、お昼を知らせるチャイムの音。「紀子。お昼だよ」家に帰るついでに、芽を出し始めている、ふきのとう(この辺ではバンケという)を娘と両手いっぱいに摘んで昼の食卓にのせ、ほろにがい春の香りを楽しみました。

ページの先頭へ戻る